唯一の夏休みに

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「おい…何で泣いてんだよ」 「…っ、泣いてねぇ」 何故かは分からないけど 涙が落ちた 多分…罪悪感 「泣いてるじゃねぇかよ…嫌だった、か?」 心配そうな表情をしながら武瑠の指が俺の目尻を撫でる 「んなわけ…ない」 その行為にすら涙が滲んで小さく呟くことしか出来なかった 「もう泣くなよ…俺がお前と居たいだけなんだから」 その言葉が聞こえた時には 暖かい腕に包まれていた 武瑠はきっと、俺が何で泣いているのか分かっているんだと思う 遠回しの武瑠の優しさ、"気にするな"の合図 その優しさに 「武瑠…」 「ん?」 「ありがとう」 「…ばーか」 何度も救われた、事実
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