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次の瞬間、彼は信じられない力で後ろに引っ張られ、地面を転がっていた。
何が起きたかわからなかった。ただ後ろに引っ張られた?と思った時には、猛烈な力を感じ、視界が転がる。
視界が一転、二転…、そして柵に背中をぶつけ、上下逆で止まった。
やがて、思いだしたように体が痛みだした。頭と背中、そして腕の所々が熱くなる。
気がつくと目の前に黒い『ヘの字のモノ』が少年を睨んでいた。
風景が逆転していたので、それが斜め上にとがったサングラスだとわかるのに3秒はかかった。
「辛気臭ぇツラして、ボーッとしてんじゃねぇぞ。少年。」
サングラスはやがてそう言った。
その言葉で我に帰って、立ち上がって思わず叫んだ。
「何するんですか⁉」
「お前こそ、こんなとこで何やってんだ?中坊はさっさと学校行きな。」
「僕は高校生です‼それに今日は学校には行きません‼」
「サボリか…。別にどうこう言う気はねぇけど、男ならこんな川でイジケてないで堂々と駅前に行って遊ぶんだな。」
「あなたには関係ないです‼」
そう言って少年はそっぽをむいた。
サングラスの方はそんな様子もたいして関心なさそうに川を見ている。
……………………………。
少年はあらためてサングラスの男を見た。
背は決して高い方ではない。むしろ中肉中背と言ったところだ。かと言って体つきが訳でもない。貧弱とは言えないがやはり変わったところも見当たらない。
…本当にこの人が僕を引っ張ったの…?
どう考えてもありえない…。あの力はまるで、…そう、K-1の格闘家にでも引っ張られた感じだった…。
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