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「あれ、なんか怒ってます?」
「いいえ。元からこんな性格なので、気にしないでください。」
美琴はちらりと男に目をやると、失礼しますと歩き出した。
この男は、美琴の最も苦手なタイプだ。
正直、関わりたくない。
こういう人間は、腹の底で何を考えているか1番わかりにくいタイプだからだ。
自分も相当歪んだ性格をしていると思っているが、きっとこの人だって負けないくらい歪んでいるのではないかと思う。
「どこへ行くんですか?月瀬美琴さん。」
名前を呼ばれた事に驚き、美琴は勢いよく男の方を振り返った。
そして言葉を出そうと口を開いた時、男の子の大きな泣き声が響いた。
「チャッピー!?どこー?」
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