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愛なんて、知らない。
孤独にだって、慣れた。
覚悟だって、できている。
ただ跡取りを生んで子供を育て、ただ愛のない家庭で一生を過ごして、それで終わり。
いつだって、美琴に決定権は無い。
明日には、結婚相手との食事会と言う名の顔合わせがあるらしい。
明日から“いいとこのお嬢様”を演じなければいけないと思うと、肩が凝る。
……まだ、鈴木でいたかった。
多少いい人キャラを作ってはいるが、鈴木の方がまだ素の美琴に近い。
だが、そんなことは誰も許さないだろう。
せめて、結婚相手がマシな顔をしてますようにと祈り、美琴は新作コスメの会議に向かうために席を立った。
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