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優太「たんぽぽみたいだ…」
僕は自然と、そう呟いていた。
それは彼女の黄色い髪が、風を受けて踊っていたから。
白くレトロなドレスに身を包んだ彼女は、何処か遠くを見る様にして、そこに立っている。
まるで過去からやって来たみたいに。
………。
カチッ
僕は丘を登りきると、大きな木の下に座って煙草に火を点ける。
そして、ゆっくりとした動きで煙草の味を楽しむと、広い空に向かって煙を吐き出した。
優太「ふぅ…」
しかし、彼女はあそこで何をしているのだろう。
草原の中で一人突っ立ている少女に、視線を向ける。
彼女はまだ、僕の存在に気づいていないみたいだ。
声をかけてみたい気もするが、驚かせては悪いな。
そんな事を思いつつ木に背中を預け、再び空を見上げる。
真っ青な空を、雲達が気持ち良さそうに泳いでいた。
秋の涼しい空気の中でこうしていると、心が落ち着く。
こんな日は煙草が美味しいんだよな…。
………。
僕は煙草を吸い終わると、携帯灰皿に吸い殻を入れた。
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