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既に意地を貫く為の槍は折れ、意見を撃ち合う剣は欠け、意気地を護る為に掲げた筈の盾も割れ落ち、我の意志を包んでいた鎧の重さに身動きすらも封じられている。
このような無様を晒して留まるくらいならば、潔く身を引くべきだろう……。
我が渇望し、手にした筈のモノは気付けば砕け、この指の隙間からサラサラと零れ落ちていってしまった……。
我はこの歴史に名を刻む事無く去り行くが、せめて一時共に過ごした戦友の未来に栄光の光が射す事を祈ろう。
幾百幾千の思い出と万感の思いを胸に……。
――ある武将の嘆き――
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