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“鞭”の出番だ。掃除屋はグリップを握り、振り上げると、蟲目掛けて思い切り振り下ろした。
グリップから金属的な擦過音と共に鞭が伸び、蟲の頭部を撫でる。
掃除屋は右手の“鞭”を床にうちつけ、付着した酸を払う。
師匠から譲り受けたものに改良を加えたこの“鞭”は、刃がしなやかに伸縮する特別製である。
本体には酸耐性のある刃が満載されており、これまで何体もの蟲を斬り刻んできたが、未だに刃毀れ一つ無かった。
切れ味は掃除屋の手首の加減次第。
細かい刃が満載された鞭の前では、蟲の外殻など何の防御にもならない。
酸を払い、鋭い刃を巻き取ると、鞭は1本の柄へ収納された。
途端、蟲の頭部が輪切りになり、ずり落ちた。
長い頭部を半ばで失い、呻き声一つなく崩れ落ちる蟲。凄まじい切れ味だ。
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