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長老の説明は、至極簡潔であった。
“蟲狩りの儀式”から帰還する途中だった青年戦士の小型艇が、“蟲”を載せたまま行方を晦ましてしまったという。
大方、儀式の興奮をそのままに、次なる獲物を求めて新たな狩りへと旅立ったのだろう。
掟破りではあったが、血気盛んな若者達を縛りつける方が酷というもの。
そのうち帰ってくる事だろう。当初は長老自身も楽観視していた。
昨夜になって、母星の技官が小型艇の信号を受信した。
詳細は不明だが、救難信号の類いだったらしい。信号は、遠方の惑星から発信されていた。
選りにも選って、その惑星は“地球人”が進出している惑星だった。
地球人自体は大した脅威ではない。高度な文明を持つ狩人達からすれば単なる獲物の一種に過ぎなかった。
過去には地球に蟲狩りの神殿も設置されていた事もあり、地球人狩りを生業とする狩人もいる。
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