遭遇

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 数秒の思案の末、“洗浄薬”を流し込むのが最も確実な方法だろう、と結論した。 弾薬帯の腰の部分から、蒼い液体で満たされた強化硝子の容器を抜きとる。  洗浄薬の威力は凄まじい。 “消去薬”の異名を持つこの液体は、使い手の皮膚すら冒す強力な有機物分解作用がある。 少量降りかけるだけで、蟲どもや狩人の殺戮の痕を完全に分解、跡形も無く消し去る洗浄薬。 洗浄薬は掃除屋という職を象徴する装具だ。 持つ事が許されるのは掃除屋だけ、という事からもそれは明らかである。  掃除屋はシミターブレードを展開し、洗浄薬の栓に指をかけた。
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