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Before that.
聖ヘルトアインツ王国。
国の象徴である巨大な魔石、通称『蒼輝石』のおかげで、古来より魔導の研究が盛んな地である。
その膨大な魔力を我が物にせんと、周辺諸国は幾度となく侵略戦争を仕掛けてきた。
それらをことごとく退けてこれたのは、ひとえに王国の守護神たる王宮騎士団とそれを率いる『聖士官』が存在していたからといっても過言ではない。
時には剣となりて敵を撃破し、時には盾となりて刃を弾く。そんな彼らは国民の、国中の憧れだった。
しかし、その憧憬の眼差しを一身に受ける彼らも、最初から英雄であったわけではない。
ヘルトアインツが首都北部にある、広大な土地と大きな建物、ヘルトアインツ王立聖士官学校が堂々と姿を構えている。将来国を護るであろう有望な人材を育て、聖士官を養成する施設。数多くの精鋭を輩出してきた、伝統のある場所である。
今日もその門戸を叩く者がまた一人……。
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