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「入学、したいんですが……」
少し躊躇うように俺は言った。そう、俺がここに来た理由は、聖士官を目指し入学するために他ならない。
「ではこの書類に……」
窓の向こうの声はどこまでも事務的にことを進めていった。
この学校の特徴は入学の申請をすればいつでも試験を受けることができるというところにある。それ故に入学式や卒業式というような儀式、学年という概念は存在しない。希望者がどんどん編入してきて、必要単位を取ったものはどんどん卒業していくため、クラスのメンバーの入れ替わりが激しい。
「本日の編入試験開始時刻は三刻後です。校内で準備していてください」
声が言い終わってから少し間があって、見るからに頑丈そうな門が音を立てて少しずつ開き始めた。
しかし編入希望をしてからその日のうちに試験とは、いくらなんでも手際が良すぎるというか、滅茶苦茶な話だ。
俺はよそよそしさを感じながらも校舎への路を歩いた。
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