第三章

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次の日から一切土方との接触を絶っていた春花。口も利かないまま数日が過ぎた。 そして。 いよいよ近藤たちが浪士組として江戸を離れる日がやってきた。 春花は結局見送りには行かなかった。嬉しそうに笑う沖田。そして近藤について行くと原田、永倉、藤堂。山南、源さん。そして。土方。家を出て行く時、つねがふでがみんなを送り出した。それでも部屋から一歩も出れないまま時間だけが過ぎて行った。 「春花ちゃん。勇さんたち行ってしまわれたよ」 障子の向こうからつねの声がする。短く返事だけすると障子をあけることさえしなかった。
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