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「話を聞いてくださいユーリさん…わたしたちの村はエルフの末裔の集まりなんです。祖先のエルフは人と交わり、エルフの血は殆ど薄いものとなりましたが…」
「リムルたちザッカスの村人がエルフと人間の混血の末裔…?」
「はい。たまにわたしのように瞳が緑色の者が産まれるくらいです。見た目も力も人間と変わりません。しかし、エルフと人間が交わった半端な存在になったこの村の祖先はエルフの里にもいられず…里を追われた祖先は西の大国グランドールに身を寄せたのですが…そこでもやはり人間ではない祖先は…捉えられ…いろいろ身体を調べられて…人体実験されて何人も命を落としたそうです」
「…………」
あまりの話に言葉が出ない
「やがてグランドールを逃げて生き延びた祖先は東の地域に入り、このザッカス村を作り住みました。もう二百年ぐらい昔の話ですが…グランドールに恨みをもつ村人は沢山いましたが、力のないわたしたちはどうすることもしませんでした」
「そう……でも、なぜ悪魔信仰なんて………?」
「しばらく前にわたしの夫カイルがこの遺跡から悪魔召喚の本を見つけたのが始まりです」
リムルの声がやや暗くなる
「最初は病にかかり、体が不自由になってゆくわたしの父のためにその本を使って治そうとしたんです。父の病は医者にも治せなかったので……しかし、悪魔に願いを叶えてもらうには代償が必要だった………」
「リムルのお父さんはなにを代償にしたの?」
「……………わたしたちの一人娘リルを…………」
「……!!!……」
「わたしたちを薬で眠らせて…気付いたときには……!ザッカス村の住人はエルフの血が混じっているためか、子供は産まれてもすぐに死んでしまう事が多くて………だからどうせ生きられないリルを!でもだからって……………うっ……そして病が治った父は悪魔の力の虜になり……その力でグランドールに復讐しようとまで考えるようになってしまった…」
「リムルとカイルは………子供を奪われたのに村長をどうにかしようとはしなかったの?」
聞きづらかったが、どうしても気になった
分厚い鉄の扉があるため、リムルの表情はわからない
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