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5月の田んぼには、青々とした植えられたばかりの稲の苗がきれいに並び、畑の作物は緑の葉を揺らす。
裏は山。表は道路の向こう、田んぼに畑。
そう。思いっきりのどかな田園風景。
冗談じゃないっ!
あたし、高真サヤは、今年で17となる、いわゆる女子高生というシロモノだ。
とはいっても、遠すぎる高校には行かずに、この小学校、中学校を過ごした校舎で、高校の教職免許を持つ中学のじいちゃん恩師と1対1の通信教育だ。
あたしはこの状況を打破すべく、いろいろと考えてみた。
そして手に入れたのは一冊の黒魔術の本。
このど田舎の分校の小さな図書室にあったものだけど。
「えーと、なになに?用意するもの、暗い部屋、蝋燭の明かり…」
あたしはそれを声に出して読んで、最初からやる気をなくしつつ、家庭科室に暗幕を引いて、アルコールランプを用意する。
更に読み進めてみる。
「材料、トカゲの尻尾、50…。カエルの肝、100…。100っ?……ふざけてるわね、この本」
あたしは一度、本を投げ捨てて、溜め息を一つ。
そう。あたしのやろうとしていること。
悪魔召喚。
神様がいるのなら、あたしは今頃、こんなところにはいないはず。
悪魔がいるなら、出てきてみやがれということだ。
あたしには、こんなものしかすがるものはない。
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