届かぬ声

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夏休みの終わりを大満足に締めくくれた三人だが、気がかりなこともある。 曲のレパートリーだ。 やはり三人のみ、というのは演奏出来る曲が限られている。 三重奏で曲が見つからない場合は、自分たちで見つけてきた譜面とにらめっこして、アレンジするのだ。 アレンジといっても、独学であまりワケも分からずチャレンジするものだから、あまり良い出来、とは言えない。 人数が多ければ、八重奏や五重奏など、色々な編成の曲を聴かせることが出来るからお客さんも飽きないし、自分たちにとっても曲のレパートリーが増えるという利点がある。 もっと欲を言えば、クラリネットだけでなく、他の楽器とも演奏出来たらより多くの音色を楽しむことが出来るのに…… あいりが部活改革を望むのは、自分たちの演奏活動を通して芽生えた、願望にもあるのだ。
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