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まぁ、うちの部活で改革なんて到底無理だけどな。
自転車を颯爽と飛ばしながら、拓人はふんと鼻を鳴らす。
真っ直ぐの黒髪は風を受けて後ろになびき、耳の横で風の音がこおこおと響く。
今日は快晴。
雲一つない空である。
銀杏並木をこえ、右にカーブした坂道を登ると、学校の正門にたどり着く。
校舎の脇にある、何となくじめっとして暗い駐輪場に自転車を止め、靴箱のある玄関に向かう。
朝早いので、あまり人とすれ違わない。
「おっはよーたくとー!」
やられた、奇襲を受ける。
朝っぱらからよく響くソプラノの声と、背中に感じる鈍い衝撃。
西村あいりが拓人の背中を叩いたらしい。
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