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俺たちの夏が終わった。
「プログラム18番、照陽高校吹奏楽部 銅賞。」
ステージの上でマイクを持った中年男性が淡々と告げる。
その途端、ホールに鳴り響く弱々しい同情の拍手。
藤澤拓人は、高い天井に点々とつけられたライトを見ながら深い溜め息をついた。
今日は吹奏楽コンクール県大会の日だった。
吹奏楽コンクールとは、高校球児たちにとっての甲子園みたいなもので、毎年秋に東京の普門館で全国大会が行われる。
今回はその県予選だ。
出場団体がステージ上で順々に演奏していく。
審査員がその演奏を聴き、評価。
その評価を元に、全団体が金賞、銀賞、銅賞の3つに振り分けられる。
拓人たちの住む県は田舎で学校数が少なく、地区大会をとばして県大会から始まる。
金賞を受賞した団体の中でもさらに優秀な団体は、支部大会に出場する県代表に選ばれる。
さらに支部大会で優秀な団体は全国大会へ、と、こういう仕組みだ。
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