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拓人たち照陽高校吹奏楽は、銅賞。
幽霊部員がいっぱいの弱小部で、本番の今日ですらメンバーが揃わなかった。
勿論、練習もまともに出来る状態ではなく、何度演奏が止まりそうになったか定かではない。
結果発表の後に各団体に配られる審査員一人一人の講評用紙には、「この演奏は銅賞に値する」ことを意味するCの文字がずらり。
まさに、一、二を争うひどい演奏だったのだ。
そんな散々な結果であるにも関わらず、部員たちはけろりとしている。
部活に対する入れ込みは皆無に等しく、万年銅賞である彼らにとって、それはどうでもいいことらしい。
「疲れた」だの「だるい」だの、口々にぶつぶつ言いながら、散り散りにホールを後にする。
……一部を除いて。
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