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あいりと一平の二人は、高校生になって初めて吹奏楽部に入り、初めてクラリネットに出会った。
ちゃんとした指導者もおらず崩壊寸前の部活で、二人にクラリネットを教えたのは、経験者の拓人である。
拓人の技量はずば抜けており、先輩なんかよりも上手いのは初心者の二人にでも理解できた。
それどころか、初心者という時期を終え、他の高校生たちは勿論、色々な演奏を耳にするようになってからは、「強豪校」と言われる学校の中でも十二分にやっていけるくらいに、拓人のクラリネットの技術は高いということに気付き始めた。
なぜ、強豪校ではなく、照陽のような弱小校を選んだのか。
なぜ、そんなに高い技術を持っているのか。
二人は疑問に思っていたが、拓人に出会えなければクラリネットの楽しさに気付けなかった訳で。
拓人もそこらへんは口にしたがらないので、追求しないようにしている。
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