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「悔しいも何も、うちが銅賞なのは毎年のことだ。
俺たち三人がちょっと頑張ったくらいで、結果に結びつくほど人生甘いもんじゃないだろ。」
「うう、そこまで正論言わなくても…。」
淡々と切り返す拓人に、口を尖らせるあいり。
一平も横目で不服そうに拓人を見る。
二人の頑張りを理解していない訳ではない。
入部以来、拓人は、初心者だからと妥協せずに厳しい目で二人の練習に付き合ってきた。
怒ったこともあったし、厳し過ぎることも言ったし、そのことで練習中ケンカになったこともあったが、それでも、二人は拓人の存在を認めて懸命について来てくれた。
2年生になってからは、一平の両親が営む、地元で有名な洋食屋さんでBGM代わりの生演奏するなど、何度か小さな本番もこなし、やっと「らしいこと」を出来るようになってきた所だったのだが…。
良い音楽は良い環境から。
どんなに三人が頑張っても、メンバー全員が同じように頑張らないことにはどうにもならないのだ。
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