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痛覚が麻痺しているのか、それとも俺が痛みを感じないのか。
後者なら人間ではないとしっかりわかる頭が危険信号を発している。
これはヤバい。
医学や身体に詳しくない俺でもわかる。
これは死ぬ。
地に確かに這いつくばってるのに、ふわふわと浮かんでるかのようだ。
凄くうたた寝したい気分だ。
「けほっ…、里人、里人っ」
昇が俺を呼んでいる。
強く蹴りすぎたせいか、少し顔色が悪い。
アイスは近くでべとべとに溶けていて、もう少しで俺の血液と混ざりそうだ。
「…ごめ、強く、蹴…りすぎ………っ…た」
昇は泣いていた。
「そんな、こと…どうでもいいっ
ごめん…俺のせいだ…」
救急車のサイレンが聞こえる。俺は生きられるだろうか。
「そ…、んなこと………うっ…ない、気にす…ん「大丈夫ですかっ!!?」
やけに煩い救急隊員が来た。
力が出ない腕で昇を撫でてやる。
いつも心配させないように昔からこうやって微笑んでやっていた。
だけど今日だけは、昇は泣いていた。
担架で運ばれながら思ったのは彼女のこと。
死んだら、彼女に会えるだろうか。
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