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仕事1 ダンジョン内に宝箱の設置
――先にも書いたけれど。
私の第一の力……『地形無効化』は、ただ、「そこに辿りつける」というだけの能力だ。
空があれば、上空に進む事が出来る。
海があれば、海中へ進むことが出来る。
溶岩も死なずに乗り越えられるし、極寒の中でも凍りつかない。
……でも本当に、ただそれだけなのだ。
何が言いたいかというと……。
「さ、寒い……」
北の大陸『永久凍土の洞窟』内の温度――現在、マイナス十五度。
「この洞窟、確か……歩いて、最奥まで三時間かかる……はず……」
地面や天井のそこかしこに刺々しい氷塊が生え、見渡す限り鏡張りの様になっている洞窟内。
……青白く広い道は、体感温度を更に五度は下げている気がする。
「うぅ……さ、ぶ、い……!」
吐く息が白い――なんてレベルじゃない。
最早その寒さは、薄着の私にとって拷問の域に達している。
でも、私は凍死したりしない。
凍死はしないから……コートは私に取って「必要ない物」。「必要な物を生成」する『物質創成』の能力では、上着を創ることが出来ないのだ。
「――くしゅんッ!」
くしゃみが、洞窟の静寂を切り裂く。
まだ入り口付近だが、私の声は最奥まで届いているのではないだろうか。
「……うぅ、寒いよぉ……」
ぶるる、と身体を震わせて、一歩一歩奥へと進んでゆく。
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