仕事2 ボスに所定位置についてもらう

2/2
前へ
/15ページ
次へ
 何も考えられない。  それはあくまでも冷気だが、火だるまにされているのと何ら変わらない苦しみ。  もがき叫ぶけれど、青い炎は一向に離れない。  終いにはその場に倒れこんで、自分の身体がどこにあるのかも分からなくなって。 「ふむ――この程度にしてやろうか」  つまらなそうなその声で、私が解放された事を知った。 「所定の位置についてやる。だからさっさと消えろ、犬が。  ……精々、陽が暮れない内に次の場所へ行くのだな」  私は、呼吸も出来ない程に苦しく、気が触れそうになる程に痛い身体を何とか動かして。 「ご、ご協、力……感謝、します……」  頭を下げて、その洞窟を辞した。 「……慣れっ子、という事か。……気丈な物だな」  フリーズドールの哀れむ声が、誰もいない部屋に反響した。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加