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何も考えられない。
それはあくまでも冷気だが、火だるまにされているのと何ら変わらない苦しみ。
もがき叫ぶけれど、青い炎は一向に離れない。
終いにはその場に倒れこんで、自分の身体がどこにあるのかも分からなくなって。
「ふむ――この程度にしてやろうか」
つまらなそうなその声で、私が解放された事を知った。
「所定の位置についてやる。だからさっさと消えろ、犬が。
……精々、陽が暮れない内に次の場所へ行くのだな」
私は、呼吸も出来ない程に苦しく、気が触れそうになる程に痛い身体を何とか動かして。
「ご、ご協、力……感謝、します……」
頭を下げて、その洞窟を辞した。
「……慣れっ子、という事か。……気丈な物だな」
フリーズドールの哀れむ声が、誰もいない部屋に反響した。
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