魔王の晒し刑

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その後の話をしようか 例のセクハラ騒動の後シンのお説教はすぐに終わり解放された俺とルカはすぐに愛しい布団の中へ それから夕方まで泥のように眠り 起きてから夕食となった さて、その夕食の時の出来事だ 「魔王様!!」 先日問題を起こした食堂で定食(肉炒め)を食べているとき 知らない人…いや、魔族から声をかけられた 「…どちらさま?」 「申し遅れました 私はフェアリー族のリクと申します」 リクと名乗った魔族は確かにフェアリーと呼ぶにふさわしかった 身長は手のひらサイズ 背中には虫のような薄い羽 そんな魔族に声をかけられた 「私の願いを聞き入れてください」 「願い?」 どうやら頼み事らしい 「私には妻がいました」 いましたっていうとなんらかの理由で今はいないのか… 「ですがある日人間に連れ去られ 見せ物小屋に売られてしまいました」 なるほど、そういう意味か 「だいたいわかった その妻を助けてくれと?」 「はい、こんな時期に無茶なお願いとは思いますが是非お願いします」 「お願いしますと言われてもな… 俺その見せ物小屋がどこにあるか知らんし…」 「もちろん調べてあります ここから北に小さな森があります その森を抜けた先にある街に妻は捕らえられています」 なるほど… 「聞いていいか」 「なんでしょうか」 「なぜ俺に頼んだ」 場所がわかっているならなんとかできてもおかしくない 俺がでるまでもなく戦闘向きな魔族に頼めばなんとでもなるはずだ 「…何度もいろいろな魔族に頼み込み街に行きました ですが魔族達は街の大きさにたじろいで逃げ出し 誰も街の中には行けませんでした」 なるほど…な なんとなくわかった 「あ~そこの水のお姉さん」 たしか水霊族とかいう水の精霊の魔族を呼び止める 「シンを連れてきてくれないかい?」 「わかりました 魔王様の頼みとあらば」 「ありがとう さて…シンが来るまでの間もう少し話を聞こうか」 そう言いながら目の前の定食を片付けた俺にリクと名乗ったフェアリーは期待の眼差しを向けて話を進めた
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