6732人が本棚に入れています
本棚に追加
「さて…シン」
「なんでしょうか」
「俺はちょっと疲れたから休むわ…
仕事…ちょっと任せるわ」
「…わかりました」
「じゃあ…
そうだ、人間の女子供は適当な部屋に閉じ込めといてくれ
そいつらには手を出させるなよ」
「はい」
…疲れた
いろいろ…いろいろな事がいっぺんにおこったから疲れた…
「俺…
人を殺したんだよな…」
腕を剣に変えた時しか殺した感触は伝わらなかったが確かに覚えている
人の意識を刈り取る感触が
人の命を摘み取る感触が
人の…体を切り裂く感触が
…寝よう
考えても何も変わらない
何も変えられない
俺が怒りに身を任せ人を惨殺した事実も
それを楽しんでいた事実も…
「…こんな状態で寝れるかぁ!!」
絶対無理
まじ無理だ
「…魔王様」
「…ルカ?」
「ちょっといいですか?」
「ああ…」
特に断る理由もない
眠れないから暇だったしな
「失礼します」
「いらっしゃい
なんか用?」
「…私ハーフなんです」
…?なにを今更
「ハーフは人間から気味悪がられ魔族から蔑まれ
仲間はいないんです」
なんとなくわかる…
人間は魔族を嫌い
魔族は人間を嫌うから
「だからどちらにもなれない私は人を殺しても魔族を殺しても
どちらになにをしてもされても
同じくらい悲しくて辛くて悔しいんです」
…なにが言いたいんだこの娘
キャラを崩してまで何を言おうとしてるんだ
「だから私は…私は…」
「ルカ…すまない
なに言いたいかさっぱりだ」
なんか励ましてくれているような気はするが…
「魔王様…」
おい、なんだその哀れみと怒りを混ぜた視線は
「はぁ…いいです
とりあえず元気出してください
トップにいる方がそれでは指揮も下がってしまいますから」
…結局あの娘は何が言いたかったのかわからなかった
まぁ気は楽になったし…
後でお礼言っとくかな
最初のコメントを投稿しよう!