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聞くところによると、イルカを窮地から逃がしてくれた後、ペインとの激闘の末にカカシもまたその命を散らしていたという。
それを聞いた時にはかなりショックだった。
中忍の自分なんかの命より、彼の命は比べようもないほど尊いモノのような気がしたのだ。
忍びとしてのスキルも然り、あの一瞬見えた美しい禁忌の紅の紋様も…
カカシを構成する全てがこの世から消えて良いものではないと‥何故かイルカは強く思ったのだ。
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イルカは今日も一日中アカデミーの復旧作業に従事して、程よく疲れた身体でいつものように帰路につく。
帰りに夕食の材料を仕入れに馴染みの店に向かう。
まだ店は完全には復旧していないが、簡素な建物を個々に構えて早々に営業を始めている逞しい里人も多かった。
ぐるりと店を回り新鮮な魚と野菜の類を適当に買い込んで家路を辿る。
見上げた薄暮れの空に剣の刃のような月が浮かんでいた。
繊細に研ぎ澄まされた切っ先のような月はあの日のカカシの姿を彷彿させた。
何の気なしに視線を前方に戻せば、思いがけない人物が目に入った。
「カカシさん…ッ」
イルカの心臓が跳ねる。
見上げたばかりの月が、、、
堕ちてきたかと思った。
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