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「殺し屋って奴等は、殺しを楽しんでる奴が多い。そんなやつじゃなきゃ殺し屋なんて仕事やっていけるわけがない。今まで殺し屋を見たことはあるかい?」
「ありません。」
「奴らは目を見ればわかる。普通の奴にはわからないかもしれないが、俺らみたいな稼業のやつには目をみればわかるんだ。殺し屋がどんな目かっていうと、一言で言うと闇だな。」
「闇ですか。」
「そう。奴らは躊躇なく人を殺せる。そこらへんの感情が欠落してるのかもしれないな。金の為とはいえ人を殺すなんて人道的じゃない。戦争になれば当たり前でしてることだけど、それとはちょっと違うな。そしてサイも普通の奴等とは少し違うのさ。」
「どのように違うのですか?」
「サイは普通の人間だ。感情もある。むしろ、他の人間よりも感情的かもしれない。だから殺し方にもムラがある。依頼人の話を聞いてサイ自身が相手に憎しみの感情を抱けば一番苦しいころ仕方をするし、どうしても殺さなきゃいけない時には綺麗に一撃で殺す。エリートには違いないんだが、この感情があるから一流と俺は言えないと思う、サイもそんなもの望んでないだろう。」
「ずいぶんサイに詳しいんですね。」
「まぁーな。」
社長の目が悲しそうに見えた。それからまた話出した。
「サイと俺とは幼馴染なんだよ。」
「えっ!?」
「びっくりだろ?サイと俺とは同じ施設に入れられていたんだよ。」
「孤児院とかですか?」
「俺にもサイにも親はいるよ。その施設ってのが、いうなれば殺し屋養成所みたいなものさ。」
「そんな施設がこの国にあるんですか!?」
「一般人の人が知ってる事なんて真実の3割程度だよ。裏社会の住人の俺でも8割ってとこだな。」
「今の話を聞いてると、社長も殺し屋をやっていたんですか?」
「いや、殺し屋自体はやったことがない。俺とサイは5歳からそこで殺しの英才教育をしていた。俺が17歳になるまではね。」
「その施設を辞めたってことですか?そんな事できるとは思えないんですけど。」
「そうだな。出れるとしたら死体になった時か、殺しのライセンスを獲得した時だけだ。でも、俺が出たのはその2つではない。」
「ではどうやって!?」
「あれは17歳になった冬だったな。とても寒い冬だった。今でも忘れることができない。」
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