サイ

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「まぁ~サイってのは都市伝説みてぇ~なもんでな、実はそんな奴存在しないんじゃねぇ~かって話もでるくらいでよ~。でもな、サイは確実に存在するぞ。」 「なぜ存在すると確信してるのですか?」 「3年前かな、うちの組の兄貴が道端で殺されたのよ。それがなんでサイがやったかってわかるんだって思うだろ?まぁ~俺も色々噂は聞いてるからよ~。殺し方とかよ。その兄貴の死体を見て思ったね。これはサイの仕業だって。」 「どんな殺し方するんですか?」 「俺が見たのは綺麗な殺し方だったぜ。傷口は1か所。しかもナイフとかじゃなぜ。凶器はなんだったと思う?」 「検討もつきません。」 「針だよ。」 「針ですか?あの必殺仕事人みたいなのですか?」 「これが違うんだなぁ~。家庭でも使われてる縫い針だよ。」 「それでどうやって殺せるんですか?」 「それをな、人中ってわかるか?そこに一針刺しただけで殺しちゃったわけ!しかも人通りの多い11時の道でだぜ?」 鈴木は興奮気味で話をしている。 「そんな方法で殺せるんですか?」 「それがよ、専門家に聞いてみたんだよ。殺せるらしいんだけど、1ミリでもずれたら殺すことはできないらしいぜ。漫画みてぇ~だろ!?」 「なぜ他の殺し屋だと思わないのですか?」 鈴木は煙草に火を点け、ニヤリと笑い、 「この五光って街にはそんな綺麗な殺しする奴なんていねぇ~からさ。俺もこういう家業だから何人か殺し屋って奴知ってるけどよ、こんな綺麗に殺す奴は見たことねぇ~となるとサイしかいねぇ~だろ!」
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