サイ

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次に向うのは一番規模の小さい組の龍愛興業。 伝もないので、無理は承知で飛び込みで事務所に行くことにした。 正直、心臓の動悸が止まらないくらい緊張している。 事務所はとある雑居ビルの3階にある。 ドアには「龍愛興業」と金文字で書かれている。 恐る恐るドアをノックすると、それ風の人が出てきた。 「はい。あんた誰??」 「私、ミホと言います。今、とある情報を集めています。」 「で、なんなん?ってかそんなん警察で聞けや!うちがなんなんか自分知ってるん?」 「ヤクザの事務所だと分かっています。実は私、サイを探しているんです。」 「サイってあの伝説の殺し屋の?」 「はい、そうです。」 男は呆れた顔をして、 「あんたアホちゃうか??そんなん伝説や!伝説!存在なんかしてへんて!ほな、サイナラ。」 「ちょっと待ってください!殺し屋を探すならその筋の人だと思ったんです。」 「知らんがな!もうええ加減帰りや!」 すると奥のほうから一人の男が、 「おい、シンジ!そのお嬢さんを中にご案内しろ。」 「えぇっ!?」 「入れろって言ってんだろ!聞こえないのか!?」 「へい!ただいま!」 すると今まで門前払いしていた男が私を事務所の中へと招き入れてくれた。 すると奥からダブルの黒のスーツを着こなした、まだ30代前半だろうと思われる男性が応接セットのソファーに腰掛けた。 「どうぞお座りください。」 私は促されるまま、対面のソファーに腰を下ろした。 「私、森下ミホと言います。」 「私はこういうものです。」 組員らしい男性は一枚の名詞を私に渡した。 「龍愛興業社長 市村 龍二!?」
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