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20分後、やっと解放された。
「はぁ。毎日毎日、どんだけ混んだら気が済むんだよ。」
スーツを直しながら、去っていく電車を睨んで言った。
それを無視してスタスタ歩いた。
「あっ!待てよ!」
それから、彰の愚痴タイムが始まった。それをそれなりに聞き流し、やっとのことで会社に着いた。
エレベーターに乗り、4階を押した。
チンッ!
「んじゃ、優輝、仕事頑張れよ!」
『おまえもな。』
そういって、俺たちは各部所へと向かった。
オフィスに座るとすぐさま、上司に呼ばれた。
「鈴木くん!」
『はい!』
すぐさま、向かった。
「昨日の、企画書出来てる?」
『はい!』
「それじゃあ、会議の時に説明よろしくね。それから、これ!説明の分からないところとか直して置いたから書き直して。付箋付けといたからわかると思うから。よろしくね!」
『はい!わかりました。』
新しく受け取った、書類を手に自分のディスクに戻った。
「あっ、鈴木くん!出来たら見せてね。」
『はい!』
返事を聞くと満足そうに、笑った。
この、人使いが荒いのは、2年先輩で、上司に当たる平田彩也香。
普段は、フレンドリーらしいが仕事になると人が変わるらしい。とにかく人使いは荒い。2年しか違わないくせに。
『はぁ…。』
「なになに~?ため息ついちゃって。幸せ逃げるぞー。」
『ほっとけ。』
「うわぁ、でた!優輝の“ほっとけ。”」
『仕事しろよ?…林あずさ。』
睨みながら、パソコン開きさっき渡された書類を直し始めた。
「ハイハイ。鈴木優輝。…“き”多すぎてフルネームいいずら!」
そう言って一人で笑っていた。
『そんなに、暇ならこれコピーしてくんない?』
「…えぇ…。しょうがないな。何枚?」
『今日の、会議の人数分。』
「了解。」
コピー機の方に向かっていた。
『はぁ…。』
やっと、仕事に集中出来る。
平田彩也香をチラッと見ると、真剣にパソコンとにらめっこしていた。
『…はぁ。』
入社して、まだ日が浅い俺。いわゆる新入社員。最初の何日かは、気合いを入れてわくわくしながら仕事をしていた。しかし、今ではただ生活のためにやっているようなもんだ。
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