始まり

3/5
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
20分後、やっと解放された。 「はぁ。毎日毎日、どんだけ混んだら気が済むんだよ。」 スーツを直しながら、去っていく電車を睨んで言った。 それを無視してスタスタ歩いた。 「あっ!待てよ!」 それから、彰の愚痴タイムが始まった。それをそれなりに聞き流し、やっとのことで会社に着いた。 エレベーターに乗り、4階を押した。 チンッ! 「んじゃ、優輝、仕事頑張れよ!」 『おまえもな。』 そういって、俺たちは各部所へと向かった。 オフィスに座るとすぐさま、上司に呼ばれた。 「鈴木くん!」 『はい!』 すぐさま、向かった。 「昨日の、企画書出来てる?」 『はい!』 「それじゃあ、会議の時に説明よろしくね。それから、これ!説明の分からないところとか直して置いたから書き直して。付箋付けといたからわかると思うから。よろしくね!」 『はい!わかりました。』 新しく受け取った、書類を手に自分のディスクに戻った。 「あっ、鈴木くん!出来たら見せてね。」 『はい!』 返事を聞くと満足そうに、笑った。 この、人使いが荒いのは、2年先輩で、上司に当たる平田彩也香。 普段は、フレンドリーらしいが仕事になると人が変わるらしい。とにかく人使いは荒い。2年しか違わないくせに。 『はぁ…。』 「なになに~?ため息ついちゃって。幸せ逃げるぞー。」 『ほっとけ。』 「うわぁ、でた!優輝の“ほっとけ。”」 『仕事しろよ?…林あずさ。』 睨みながら、パソコン開きさっき渡された書類を直し始めた。 「ハイハイ。鈴木優輝。…“き”多すぎてフルネームいいずら!」 そう言って一人で笑っていた。 『そんなに、暇ならこれコピーしてくんない?』 「…えぇ…。しょうがないな。何枚?」 『今日の、会議の人数分。』 「了解。」 コピー機の方に向かっていた。 『はぁ…。』 やっと、仕事に集中出来る。 平田彩也香をチラッと見ると、真剣にパソコンとにらめっこしていた。 『…はぁ。』 入社して、まだ日が浅い俺。いわゆる新入社員。最初の何日かは、気合いを入れてわくわくしながら仕事をしていた。しかし、今ではただ生活のためにやっているようなもんだ。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!