始まり

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「はい!人数分コピー終わったよ!」 『サンキュー。あっ!林、これもコピー頼めるか?』 パソコンから林に目を向けた。すると差し出した手を軽くたたかれた。 「嫌だ!私にだって、仕事あるのよ?今日中に少しでもやっておかないと。たくっ!一回コピーしてあげたからって調子乗って…同期のくせに。自分でやりなさいよね。」 そう言い放つと自分の席に戻り、パソコンに向かった。 『何だよ…あいつ。意味分からん。コピーくらいなんだよ。はぁ。』 仕方ないから、自分でコピーするために席を立った。 「明日から、会社全体内装工事でしばらく休みだろ?…今日中に、仕事少しでもかたしとかないとな…まいったよ。まぁ、会議が無ければ、大丈夫だけどな。 社員の会話が耳に入ってきた。 『…忘れてた。明日から内装工事か。だから、あいつ…はぁ。』 一気に、体からもともと少なかったやる気が引いた。コピー機から紙が出でくるのをボーッと見ていた。 「あれ?優輝…何ボーッとしてんの?コピー終わってるよ?」 『へ?…あぁ。』 声の主は、これまたおさななじみの詩織だった。 詩織は、コピー用紙を整えてため息をつくと差し出してきた。 『ありがとう。』 「相当疲れてるみたいね。まぁ…無理もないか。秘書の私でさえこんなに疲れてるのに。」 『まぁな。ん?…秘書がこの部所に何しに来たんだよ?』 「それが、内装工事のせいで会議とかに変更が出来て調整しにきたの。…まいちゃう。」 そう言ってまたため息をついた。 『お前も大変だな。』 「あんたもね。あっ!行かなきゃ。じゃあ、頑張って!」 『おう!』 そう言うと慌ただしく出ていった。 今夜はきっと、地獄だ。 そう思いながら重い体を無理やり動かして自分の席に戻った。
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