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 店内には小さな音ではあるが曲が流れている。少々の声ならば隠せるように思える。 受付を済ませ、個室ブースへと向かう。その途中にドリンクバーがある。途中でドリンクバーでメロンフロートを注いで持っていった。冴子は紅茶を持っていった。 個室のドアと壁と天井まで高さのある本棚とに挟まれた通路を歩く。受付からブースまで、青や黒の色を基調としておりどうにも明るさを嫌った風な雰囲気である。壁やドアは思いのほか低く、少し背伸びをすれば中が覗けそうである。これはどちらかといえば壁というよりは、しきりではないかと思う。乱暴にすれば乗り越えさえできそうだ。ドアもすりガラスで目を凝らせば、あるいは中が明るければ向こうの様子がわかりそうだ。  僕と冴子にあてがわれたブースはフロアの最も端の奥まった場所にあった。近くの壁にはベニヤ板が貼り付けられていた。そこには窓があるのだろうか。ベニヤ板の辺からは光が僅かに漏れていた。本当に端っこなのだな、と思った。
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