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『今日は友達と一緒に帰るね  ごめん(謝っている絵文字があったのを覚えている)』  総毛立つ。そこら中にあるものみな疎ましく思えてくる。おそらくはあの男とでも遊びに行くのだろう。  このとき、僕は彼女をつけて、何かしらの情報を得られればと思いついた。早速校門から少しばかり離れた所にある月極駐車場の車の陰に入った。白のヴィッツだ。母の車と同じだった。しばらく隠れて様子を伺っていると彼女が校門をくぐって来た。うきうきと楽しげだ。  冴子の尾行を開始した。駅に至るまでは五十メートルほどの距離を保って後を追った。最寄り駅に至るまではあの男と接触はなかった。そのまま電車に乗り込む。埼京線各駅停車新宿行。彼女が三両目に乗ったのを見て、僕は二両目に乗った。電車にはそんなに長く乗ってはいなかった。池袋で下車する。彼女の後を追うと、池ふくろう像の前で止まった。そこで待ち合わせているのか。  不意に僕の脇を「嫌なもの」が横切っていった。あの坊主頭の男だ。彼女がこちらに振り向くのを警戒し、こっそり柱の影に身を移した。幸いなことに彼女はこちらを振り向きはしなかった。あの男の顔ばかりを見つめているから、他のものに気がつかないのだ。すぐに二人腕を組んで歩き出した。  それにしたって、男はどうか知れないが、冴子には警戒心がない。池袋なんて近場で遊んでいたら、僕に偶然出くわすかもしれないというのに、無警戒に男と仲睦まじく歩く。 (あるいは、僕に見かけられても、もはやどうとも思わないということなのかもしれないが……)
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