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赤の後ろから現れた女性、葵 瑞波【あおい みずは】は本当に楽しそうに笑っている。
「お、おはようっス、瑞波先輩」
「先輩、おはようございます」
首をホールドされたままで若干喋り難いが、竜斗達は律儀に挨拶を交わす。
「おはよ、二人とも元気良いわね」
瑞波は赤同様大学部の二回生、更に薙刀部の部長を務め趣味で水泳同好会にも入っている。
人懐っこく明るい性格は誰からも好かれ、男女どころか後輩先輩を問わず絶大な人気を誇る。
そして何より、隣を歩く鳳凰寺 赤の恋人なのである。
後輩二人とじゃれ合う赤の姿に、クスクスと笑みを零す瑞波。
「さて、時間もあることだ、他の奴等が来るまで俺の練習に付き合ってもらおうか」
「わっ、ちょ、ちょっと、部長ぉ~」
「わっ、っとっと、瑞波先輩、たすけ……」
赤は有無言わず二人を剣道場まで引きずって行った。無論、がっちりと首をホールドしたままで。
「頑張れ、男の子~♪」
そんな光景を瑞波は微笑ましく見送り、自分も薙刀道場に向かうのだった。
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