30人が本棚に入れています
本棚に追加
そこは自然溢れる大地、人の住む世界と隣り合いながらも歩いては行けない異世界。
幻獣界【げんじゅうかい】と呼ばれるその世界は、人の抱く〝夢〟や〝希望〟によって生まれた様々な獣、幻獣の住まう世界だ。
獣といってもそのサイズは平均しても一〇メートル強、人間の目線から見れば巨大な怪獣である。
しかし普段は平和な時間を過ごす彼等幻獣が、何故か皆空を地を駆け回り飛び回り忙しなく動いている。
何かあったのだろうか、誰もが焦っているような表情を見せている。
その一角で、数体の幻獣が集まって何か相談をしているようだ。
『ではやはり、〝夢の祠〟が何者かに破壊されたと言うことか』
苛立ち気味にそう言うのは、狼と馬を合体させたような姿の幻獣だ。
『それしか考えられません、間違いなく〝境界〟の壁に亀裂が生じています』
落ち着いた口調で話すのは、頭は鳥、身体は蛇、そして蝙蝠の翼を持つ幻獣。
『早急に手を打たねば、奴等が動き出してしまう』
頭は牛、身体は鳥といった怪鳥の姿の幻獣が、深刻な面持ちで言う。
『ならば、ここは我等に任せてくれ』
そう言って現れたのは、竜の姿の幻獣と獅子の姿の幻獣だ。
最初のコメントを投稿しよう!