第1話【飛来】

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「よう」 「ちぃーっす」 「はよー」  車内に入ると、剣道部も含めた見慣れた朝練組みの顔ぶれが声を掛けて来る。 「おう、席空けてくれ」 「おはよう、今日はいつもより空いてるね」  挨拶を返し、竜斗は荷物が鎮座する席を空けてもらい、獅季はその横で吊り革を掴んで話しかける。 「なんか他の部活は三十分早かったみたいだぜ」 「へぇ、もう夏に向けてメニュー強化してるのかな?」 「どうでも良いけど、赤【せき】先輩が聞いたらウチは一時間早められそうだな」  獅季たちの他愛ない会話から恐ろしいものを想像した竜斗が、ブルリと身体を震わせる。  そんな話をしている内に、バスは学校区の内門【うちもん】に着く。  内門というのは八雲学園の学校区に備え付けられた校門のことだ。ちなみに、八雲学園と日本本州を繋ぐ駅を外門【そともん】と呼んでいる。  奇しくも世間の見解通り、この都市は〝八雲学園〟だと言うことだ。 「さてと、ゆっくり朝練の準備でもするか」 「でも部長辺りはもう来てそうだよね」  楽しげに笑いながら剣道場を目指す竜斗と獅季、その後ろに人影が迫っていた。
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