はじまり

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実際、俺にもそういう経験がある。 まだ俺がガキのころ、両親と三人で、家から少し離れたデパートに出かけた時のこと。 俺は休日だけ立てられる特設ステージのヒーローに夢中だった。 その時、両親は確かに隣にいた。 けど、ふと後ろの方で親父が呼ぶ声がしたんだ。 あれ?って思って、隣を見ると、両親がいない。 ヒーローに夢中になるあまり、ステージに近づいていたらしい。 俺は、焦って声がした方に走った。 しかし親父の姿は見えない。 (迷子になった!) 幼心に、俺はそう思った。 辺りを見回しても、知らない顔ばかりで焦ったよ。 今では行き慣れたデパートでも、当時の俺にとっては広大なジャングルだった。 動かなければ、親が見つけられたかも知れない。 だが、心細さからか、俺はじっとしていられなかった。 1時間くらい歩き回っただろうか、俺は疲れて、ベンチに座り込んだ。 そしてそのまま眠ってしまったんだ。 不思議なのは、ここから。
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