はじまり

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「さぁ、着いてきて。」 俺に考える暇は無かった。 その人は、俺の手を取ったかと思うと、風のように走り出す。 自分の体が浮いてるんじゃないかって思う程のスピード。 だけど、俺自身も信じられない速さで着いていく。 「…来た。」 そう言った瞬間、その人の眉間にシワが寄り、眼の色が変わった。 ブワッ…! 何かが、俺の横を通り抜けた。 全身に鳥肌が立ち、一気に空気が冷たくなる。 「渡せ…」 低く、重い声。 横を通り抜けた、何者かが呟いた。 俺は、ゆっくりと視線を上げる。 「ひっ…」
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