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「確かに、結衣には元気でいてほしいです。」
彼女の中の天秤は、どうやら俺に幸せな選択をしたようだ。
「そうだとも。」
「結衣に…なるべく刺激を与えないようにお願いします。」
「もちろん。で、君の名前聞いてもいいかな?」
彼女はハッとして名乗る。
「申し遅れましたっ…私、玉木結菜と申します。」
ペコッとお辞儀をすると、顔を上げて笑った。
眩しすぎる…
真夏のビル街の反射よりも眩しい…
「今まで、隠していてごめんなさい。けれど私たちは貴方を護るために生きてきた。そして、これからもずっと。」
こんな美人が俺を護る、ね。
俺にとっては幸せなことだな。
「まぁ…じゃあ、よろしくしてね。」
さりげなく右手を差し出す。
すかさずスキンシップチャンス!!!!
「あ!そうですねっ!気が付かなくてすみません!」
…ん?
俺の右手には、きっちり120円が握られた。
「いや…あの…」
「あれ?お茶、野球場だと高いです?」
そこじゃねぇ!!
「あ…ううん、いいよ…いいんだ…」
凄まじい虚無感が俺を襲ったのは、言うまでもない。
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