アンバランス

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今朝は調子が悪い。 あの時からの木ノ内は妙に大人しい。 いや、もう少し前からそうだったかも。 まるで常識人のような行動しかしない。 そんな木ノ内を見るのは、朝方の駅で見た渇いた嘔吐物よりも気持ち悪い。 「おいこら。」 あ… 思わず殴っていた。 「いたいぃっ!!」 木ノ内の悲痛な叫び。 これだ… 「やればできるじゃないか。」 「な…なにがだよっ…」 「常識的なお前など誰ひとりとして必要としてないんだよ。」 いつもなら、「ひっどーい!俺は博識だ!偉いんだ!」 と喚くに違いない。 「そ…そうか、参考にしておく。」 だと。 …つまらん。 調子が悪いのは、間違いなく木ノ内のせいだ。
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