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そこには、人型の何かがいた。
顔は半分潰れ、多分男であろう、本来胸がある部分には穴が開いていた。
ニタリと笑いながら、俺の目を見る。
「こっちへ来い。さすれば、終わりにしてやる。」
俺は、怖いのと、訳が分からないのとが混ざり、肩で息をするのが限界だった。
「ふざけるな。終わるのはお前だ。」
女の人が冷たく言った。
次の瞬間、女の人は手の平から刀を出した。
(え!?お姉さん、痛くないの?)
この状況に置いても、そんなことが心配になった。
どっかで、現実じゃないって思っていたのかも知れない。
手品のように、血が出ることもなく、刀は全貌をあらわにした。
「覚悟。」
握り直した刀を脇腹まで引き、猛スピードで怪物に突っ込む。
ザシュッ!!
肉の切れる音と共に、ビチャビチャと血が飛ぶ。
刀は、怪物の腰辺りに入った。
「無駄なこと…」
怪物は、すでに上半身がグラリと擦れ、立っていられない状態にも関わらず、ニタニタと笑っている。
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