アンバランス

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「あんたに、あたしを責める権利なんてないんだから。」 額をさする俺を、うっすらと開いた眼で鋭く睨んだ。 いちいちカンに障るやつだな。 「仮にも契約を交わしたんだろう。主人に向かってその態度。いいのか?」 そう言うと、結衣の表情が固まる。 「…契約なんて、軽いもんじゃないわよ…」 唇を噛み締め、制服のスカートを握った。 悪いこと言ったかな… 「あ…ごめん…とっ、とりあえず!変質者的目線でコスプレを語らないで。」 …俺は紳士だぞ。 「語るつもりなどない。いわば、俺は結衣のコスプレ展覧会の観客だ。」 ゴクン… 結衣の生唾を呑む音が鳴る。 「つまり…?」 「つまり、お前の作品に対して共感してやれる唯一の人間…それが俺だ。」 「本当…!?」 決まったな。 結衣の目は輝き、胸の高鳴りが伝わってくる。 「本当だとも。」 微笑む俺は、まさに紳士だな。
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