はじまり

8/9
前へ
/100ページ
次へ
「あ…ぁ…」 足とか、腰とか、全部ガクガクだった。 怪物は蒸発するように消え、女の人が立ち上がった。 その時、 「我は消えども、怨念は消えぬ。奴の魂が消えるまで、何度でも喰うてやる…」 怪物の声がどこからか響いた。 「…立てるか。」 「ひっ!?」 女の人の問い掛けに、小さな悲鳴で答える。 「…すまない。こんなはずじゃなかった。」 女の人はしゃがんで、俺の顔を見た。 「もう大丈夫。」 にっこり笑うその人は、とても綺麗だった。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

30人が本棚に入れています
本棚に追加