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「え?ああ、これね。こ…れは……いつ出来たかな…?」
平隊士達は既に八木邸に戻っているので、本当の性格で話した沖田は回顧するため上を見た。
(……あぁ、そうだあれは十のときだ。だけど十のときの記憶があまりないな。どうしてだろう?)
「……武士に襲われたのは十のときかな?でも何でだかは覚えてないんだよね」
顎に曲げた手を当て、どうして覚えていないんだと首を傾げながら思案するも、一向に思い出せない。
ほとがらのように過去の映像が繋がって出来ていて、それが記憶なのだが、十のときのほとがらだけが真っ白に塗りつぶされているように消えている。
(どうしてこんなにも思い出せないんだろう?)
「……誰かを庇ってやられたんじゃね?」
「え?」
「ほら、お前が十のときだったとはいえ、普通の人間よりは強かったんだろ?だったら簡単に倒せる筈なのに、そんな大きな傷をつけられたってことは、誰かが側にいて守ってたんじゃないか?」
平助の言葉は的を射ているかもしれない。
沖田は更なる思考の海に潜るため、目を細めて集中しようとした。
だが、1週間ぶりに聞く声に、それは早くも中断させられた。
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