2362人が本棚に入れています
本棚に追加
「ありがとうございます。あと、この横笛を一つもらっても良いですか?」
「おお!あんちゃんお目がたけえな!
こいつは3両だぜ!」
「あの……これで足りますか?」
「全然足りるぜ!あんちゃんよく貯めたなあ!」
「いえ、ありがとうございました」
そうして時音は夢見水月と横笛を鞄に仕舞い、楽器屋を出て行った。
(京なのに京都弁をつかわないなんて珍しいな……)
店を出て、歩きながら思考を巡らせていた。
あそこに夢見水月があるということは、この時代にまだ後継者が残っているのか……
しかし、一体誰…?
だが、そう命は長く無いだろう。
あれは、後継者が自分の命の次に大切なものなのだ。
そうやすやすと手放す筈が無いのだ。
あれは自分の精気が強い程力が増す。
そして、自分の精気を吸収して力を発揮するのだ。
あれを手放すということは、自分の命がもう長くないと理解しているから。
残り少ない精気を武器に差し出すわけが無いのだから。
最初のコメントを投稿しよう!