タイムスリップ

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「ありがとうございます。あと、この横笛を一つもらっても良いですか?」 「おお!あんちゃんお目がたけえな! こいつは3両だぜ!」 「あの……これで足りますか?」 「全然足りるぜ!あんちゃんよく貯めたなあ!」 「いえ、ありがとうございました」 そうして時音は夢見水月と横笛を鞄に仕舞い、楽器屋を出て行った。 (京なのに京都弁をつかわないなんて珍しいな……) 店を出て、歩きながら思考を巡らせていた。 あそこに夢見水月があるということは、この時代にまだ後継者が残っているのか…… しかし、一体誰…? だが、そう命は長く無いだろう。 あれは、後継者が自分の命の次に大切なものなのだ。 そうやすやすと手放す筈が無いのだ。 あれは自分の精気が強い程力が増す。 そして、自分の精気を吸収して力を発揮するのだ。 あれを手放すということは、自分の命がもう長くないと理解しているから。 残り少ない精気を武器に差し出すわけが無いのだから。
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