2362人が本棚に入れています
本棚に追加
「見て、天宮さんよ!」
「何であんなに美人なんだろう…いいなぁ……」
「今日も天宮さん綺麗だなぁ……」
「中3とは思えないぐらい綺麗だよなぁ……」
腰までの艶やかな黒髪を靡かせながら悠々と歩く、天宮というこの世の者とは思えぬ程美しく麗しい容姿を持つ、まるで天女のような少女を遠目で見ている生徒達は、感嘆の言葉を次々と口にしていく。
「あ、あのっ…!天宮さん!」
歩いていた天宮という少女の前に、一人の少女が現れた。
「わ、私…春川千晴と言いますっ……私、ずっとあなたが…天宮 時音(アマミヤ トキネ)さんが好きでした!もしよかったら、これ食べて下さい!」
千晴という少女が手作りと思われるクッキーを、時音に差し出した。
「……ごめんね、私、甘いものがちょっと苦手なの。気持ちだけ受け取っておくわ、ありがとう」
そう言って、時音は少し困ったように微笑んだ。
困った顔も絵になる程の美しさだ。
「そっそうなんですか!すいませんでした!」
千晴は頬を朱くしながら一礼すると、一目散に校舎へと駆けて行った。
最初のコメントを投稿しよう!