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丘を下り町に着くと、時音は脱力した。
(いくらつまらないと言ったって、昔にタイムスリップさせるなんて嘘だろ……)
町には丁髷をした男や刀を差している浪士達、結った髪に簪を差している女。
観察力、推理力がある時音はもうこれだけで直ぐに理解してしまった。
人は有り得ない事が起こると、夢や何だと現実逃避するが、生憎時音にはそんな可愛い性質などは持ち合わせていない。
どんな事が起きても受け止める精神の時音。
だが、今が何年なのか、此処は何処なのかという問題が残っている。
時音は前にいる一人の女に尋ねた。
「あの……つかぬ事をお伺いしますが、今は何年で此処は何処なんですか…?」
女は振り向き時音を見ると、頬を染めて時音に見惚れた。
中性的な顔立ちに人並み外れた容姿を持ち、着物を着ていて色気がある時音は、色気のある美青年に見えるのだ。
女が見惚れるのも無理はない。
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