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姉ちゃん、まだあの男と縁が切れてないのかな?
僕達は、姉ちゃんの持つ赤色の乗用車でコンビニエンスストアの前の駐車場に車を駐車していた。
僕の目の前のドリンクホルダーに乗せてあるペットボトルの紅茶は、もう既に半分位の量になるのに、姉ちゃんはまだ車の外で誰かと電話で討論を繰り返している様子。
「ふぅ」
自然と僕の吐く息も重さを増す。ま、でもゆっくり某SNSサイトでもやっていれば直ぐに時間は経つだろう。
そう思い、僕は携帯電話を開いてサイトにアクセスした。
いつも思う、姉ちゃんは始めから付き合う男に飛ばし過ぎるんだ。だから、男がつけあがって姉ちゃんをがんじがらめに束縛するんだ。
そして、最後には姉ちゃんが疲れきって…サヨウナラ。
僕は、姉ちゃんの背中を見て育ったからこその立ち回り。
言わば、反面教師。こんな事を思っているなんて知られたら、絶対にただではすまない。
ま、利己的すぎる僕の方もどうかと思うんだけどね。
僕は、少しバッテリーが気になって点けっ放しの車のヘッドライトを消す。
姉ちゃんが此方に振り向き、腕時計に視線を送った。ったく、時間掛かりすぎ。
車内に戻って来た姉ちゃんからは、僕に対しての気まずそうな表情の奥に、悲しさを隠しているかの様に思えた。
「…御免、仕事の電話が」
んなわけあるかいっ!
僕は、心の中だけで姉ちゃんに突っ込みを入れた。
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