刻印

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高速道路のインターチェンジに差し掛かる頃、先程までの豪雨は嘘の様にスッキリと晴れ上がっていた。 「久しぶりにきれいな空だね」 都会に住む私達の視界には、なかなか澄んだ星空なんて入っては来ない。 私は、弟に投げかける。 「そだね」 誰かが言った。『東京には夜空が無い』あながち、そんな言葉も鵜呑みに出来そうになる。 それ位、この星空を眺めるのは久し振りなのだろう。 私達の乗る車は一般道へと下り走行する。見据える先は山ばかりの景観、周囲は田園が並ぶ、巨大なパノラマの様だ。 「姉ちゃん、喉、渇かない?」 「ん、そう?少し待ってね、コンビニ見つけたら入るから」 「う、ん、」 弟は、また、気持ち良さそうに伸びをする。なんか、ズルい。免許取ってないから仕方無いんだけど、イラッとする。 「拓真(たくま)、タバコ一本ちょうだい、姉ちゃん切らしちゃった」 「あいよ」 拓真は、私にメンソールのタバコを差し出す。それを手に、口元へ運ぶ。 「火っ」 「ん?」 「火っっ」 少し顎を前にしゃくらせながら強気に。 「ああ、火ね。」 拓真は私の加えるタバコに、ホストさながらのやり口で火を着けた。
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