見られてしまった文月

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  「はい」   声とともに現れた、その姿は、あの時に見た女性…     「ご指名ありがとうございます」   そう言い、章央の隣に座った。   「よろしく、ミツキちゃん」   だが、章央の顔を見た瞬間、彼女…いや彼は、顔をそむけた。     「あれ?どうかしたの?」    章央は不思議そうに、彼を見る。     「あ、いえ、ごめんなさい!ビールお注ぎしますね」    何事も、なかったようにビールを注ぐ。 だが、章央は彼の声に聞き覚えがある気がした。     (あれ?なんか…よく聞いてる声に、似てる気がする…)   しかし、誰とは出てこない。     ビールを飲み、ミツキを見る。 すると、章央はある事に気がついた。   (あれ…この子、左手に小さな…アザかな?)   それは、小さくてパッと見は気づかないが、確かにアザがあった。     すると、章央はある事を思い出した。   それは、珍しく文月が手にケガをしてしまった時… 大した傷ではなかったが 章央が念のためと、バンソウコウを貼ってあげた時があった。   その時に、文月の左手に、小さなアザがあったのだ。    (まさか…これが、あの…文月なのか!?)    
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